コラム

下がり局面こそ長期投資の運命の分かれ目 〜「感情」に負けない資産形成〜

こんにちは。ファイナンシャル プランナーの小中です。

インデックスファンドを考案したアメリカのバンガード社が発表している「投資家が失敗する原因」についての内容が、非常に興味深いものです。商品の選び方で失敗する人はたかが数パーセントに過ぎず、そのほとんどは、当初予定していた目的に向かっての投資を途中でやめてしまう「行動」に原因があります。特に、感情に飲み込まれてやめてしまうケースが一番多く、具体的には、「思った以上に株価が下がっているから不安になってしまう」とか、「短期的に思った以上に資産が増えているからここで一旦やめてしまおう」と考えてしまうケースです。

弊社の推奨ファンドの一つが、この2年間ぐらい、過去30年近くのパフォーマンスと比べてかなり悪いように見受けられます。我々の見立てからすれば、実は全くエラーは起きていないのですが、本日はその点について解説させていただきます。

まずこの投資信託の過去28年間の平均利回りは、12.5%です。そこから信託報酬1.98%が差し引かれますので実質利回りは10%ちょっとになります

ので手数料を差し引いても十分な利回り実績です。次に、この投資信託の投資哲学は「プレミアムな企業」という言い方をしていますが、様々な局面を考えて負けにくい企業に投資を行います。その成果として、インデックスファンドが4年に1回ぐらいのペースでマイナスになっているのに対して、この投資信託は過去28年でまともにマイナスになったのは2回だけです。つまり、下がり局面に強く、しっかりと長期的には利回りも良いということがわかります。ただし、利回りというのは銀行の利息と違うので、日々乱高下を繰り替えした結果だということです。このグラフを見ればわかるように、長期的には右肩上がりに成長していますが、過去何度かは横ばいや、買い付けたタイミング次第では少し下落しているときもあります。

2010年からみても、横ばいのタイミングが4回あり、その後成長を繰り返しています。しかも大体同じ周期であることもわかります。つまり、今は今後の成長のための仕込みの時期であり、じっくりと我慢する時期だということがわかります。というのも優秀な投資信託のファンドマネージャーの仕事は、その投資信託を長期的に成長させていくことです。例えば、予想に反した下落局面が来たとき、目先の自分の手柄を考えれば、すぐに損切りをし、リバランスを整えるということを考えるでしょう。ただ、優秀な投資信託というのは常に5年以上のスパンで成果を見ているので、ファンドマネージャーも短期的な目先の損得に左右されることはありません。むしろ予想に反して下がったということは、自分たちが優秀だと思っている企業が予想よりも安く買えるチャンスであるということですから、手放すどころか多めに買うことだってあり得ます。もちろん、安くなっている企業をたくさん買い増せば、当然ながら目先のパフォーマンスは悪くなってしまいます。ただ、これは戦略的「悪い」を選択しているだけで、長期的にはしっかり成長にコミットしていると言えます。つまりファンドマネージャーも5年スパンで戦略的に成長を考えているので、それより短い期間で判断されてしまうと、その戦略に中途半端に乗っかっただけという一番最悪な状況になってしまいます。特に昨今は、SNS等で、手数料が高いからパフォーマンスが悪くなる、というようなことが言われています。確かに中身が同じインデックスファンド同士や、粗悪なアクティブファンドのようなものであれば、それも言えるでしょう。ただ、その理論でいくと、この投資信託の場合は、昨今はインデックスに負けているものの、長期的に勝っているという事実の説明が成り立ちません。むしろ、⾼い⼿数料を払っている今、戦略的に負けてくれていることこそが、この手の投資信託を選択する最大の魅力なのです。

こちらの図は、インデックスファンドとこの投資信託を比べたものになりますが、直近の数年は負けていますが、長期的には圧倒的に、勝ち続けていることがわかります。2020年以降、世界では戦争が勃発し、インデックスファンドには軍需産業がたくさん含まれています。ただ、人は戦争を求めていないので、それは割高で買わされるということになります。だからこそ、この手の投資信託は、戦略的に今上がることが分かっていても、軍需産業は外しているのです。子育てを経験された方ならお分かりいただけるかと思いますが、自己投資も投資の一種です。例えば、お子様が「習い事を始めたい」と言った際、その思いを叶えるために長年、月謝を払い続けます。しかしその途中で、やりたいと言ったはずの子供がやる気をなくしたり、サボったりすることもあります。「やる気がないなら辞めてくれればいいのに」と、親として様々な葛藤を抱えることもあるでしょう。それでも忍耐強く続けていくと、お子様は長い年月をかけてしっかりと成長し、その姿を見た時に初めて「続けてよかった」と成果を実感できるものです。金融投資もこれと全く同じです。投資とは短期的な動きに一喜一憂することなく、未来の目標に向かって忍耐強く、時間をかけてじっくりと資産を成長させていく行為なのです。

 

小中 順子(Konaka Junko) FP事務所ライフナビ代表 / ファイナンシャル・プランナー

顧客一人ひとりの「心の豊かさ」を第一に考えたライフプランニングを提案。「数字を追うだけの投資」ではなく、家族との時間や日々のゆとりを大切にしながら、無理なく続けられる資産形成の普及に努めている。特に30代〜50代の現役世代から、現実的で温かいアドバイスが支持されている。

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