コラム

金利が上がる時代に~「返済額が変わっていないから大丈夫」が、一番危ない~

2026年9月10日 執筆/FP事務所ライフナビ 大植裕一

日本銀行は9月17日・18日に金融政策決定会合を開きます。市場では、政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げるとの見方が大勢です。政策金利とは、世の中の金利のもとになる金利です。これが上がると、住宅ローンや預金の金利も少し遅れて動きます。

とはいえ多くの方は、「うちの家計は何も変わっていない」と感じているはずです。それは当然です。変動金利の住宅ローンは、金利の見直しが半年に1度、返済額の見直しは5年に1度が一般的。今年6月に上がった分が返済額に出てくるのは、早くても2027年1月以降だからです。

こわいのは金利そのものより、この「遅れ」のほうです。

1|返済額が変わらなくても、中身は変わっています

変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」があります。金利が上がっても毎月の返済額は5年間そのまま、5年後に上がるときも、それまでの1.25倍までしか上がらない、という決まりです。急に家計が苦しくならないための、ありがたい仕組みです。

ただし、金利上昇がなかったことになる仕組みではありません。

毎月の返済額は「利息」と「元本(借りたお金そのもの)」に分かれています。金利が上がると、同じ10万円を払っていても利息の分が増え、元本が減るスピードが遅くなります。返済額は変わらないのに、借金が思ったほど減っていない。返済予定表を見て初めて気づいた、というご相談がこの1年で増えました。

さらに上昇が続くと、利息が毎月の返済額を超えることもあります。払いきれなかった利息は消えず、あとでまとめて請求されます(未払利息といいます)。

ですから確認していただきたいのは、毎月いくら払っているかではなく、次の3つです。

  • 残っている借金の額と、あと何年で終わるか
  • この1年で、元本が実際にいくら減ったか
  • 自分の借入に5年ルール・125%ルールがあるか(ネット銀行を中心に、ない場合もあります)

いずれも、銀行から届く返済予定表と、契約時の商品概要説明書で確認できます。

なお「それなら固定金利に」と考える方もいますが、2026年9月時点で変動金利と全期間固定金利の差は年2%以上あります。固定が得になるのは、変動がそれ以上に上がった状態が完済まで続いた場合だけ。固定は得をするためではなく、返済額を確定させて安心を買うためのものです。

2|預金は「どこに置くか」で差がつきます

三菱UFJ・三井住友・みずほの3行は、2026年8月3日から普通預金の金利を0.4%に引き上げました。一方、ネット銀行には1年ものの定期預金で1%を超えるところもあります。同じ元本保証のお金でも、置き場所だけで受け取る利息は変わります。

置き場所金利(年)100万円を1年
預けた場合の利息(税引後)
メガバンク3行の普通預金0.4%約3,200円
ネット銀行の1年定期(一例)1.0%約8,000円
2026年9月時点。利息から税金20.315%が引かれた後の概算です。

ただし、忘れてはいけないことがあります。物価はこの1年で1.8%上がっています。預金は預けた金額こそ減りませんが、そのお金で買えるモノは毎年少しずつ減っていく。「銀行に置いておけば安心」は、半分しか正しくありません。

といって全部を投資に回す話ではありません。2年以内に使うお金と、万一に備える生活費は金利の高い預金へ。10年以上先まで使わないお金はNISAへ。この線引きだけで十分です。

3|保険は「減らす」より「触っていいか」

見落とされやすいのが保険です。保険会社は預かった保険料を運用しており、その見込みの利回りを「予定利率」といいます。これが高いほど保険料は安く、戻るお金は多くなります。金利上昇を受けて、各社は予定利率の引き上げを相次いで発表しました。数年前に「増えないから」と見送った貯蓄型の保険は、条件が変わっています。

逆に、絶対に解約してはいけない保険もあります。1990年代前半までに入った、予定利率が5%台の契約です。当時と同じ条件の商品は、もう出てきません。「保険料が重いから」と手放すと、大きな損になります。

入り直しを検討する価値がある手をつけてはいけない
加入した時期低金利が続いた2010年代以降1990年代前半まで
予定利率の目安1%前後かそれ以下5%台
とるべき行動いまの商品と条件を比べてみる解約・転換しない。保険料が苦しいときは「払済保険」への変更を検討する
払済保険=保険料の払い込みをやめ、保障を小さくして契約自体は残す方法です。

つまり保険の見直しは、増やす・減らすではなく、「入り直したほうがいい契約」と「触ってはいけない契約」を分ける作業です。まずは保険証券を出し、いつ入ったかを確認してください。

お金の出どころは、1つの財布です

住宅ローン、預金、保険。別々の話に見えますが、払っているのは同じ財布からです。返済額が月1万円増えれば、その1万円はNISAか教育費か保険料のどこかから出ていきます。逆に、いらない保障を1万円やめられれば、その分が金利上昇を吸収してくれます。

しかも、この組み替えには時間がかかります。返済額が実際に増える2027年になって慌てても、打てる手はほとんど残っていません。動くなら、まだ何も起きていない今です。

FP事務所ライフナビでは、返済予定表・保険証券・預金とNISAをまとめて並べ、「金利が何%上がると、どこから苦しくなるか」を数字でお見せしています。「うちは大丈夫か」を確かめるだけのご相談でも構いません。


出典・参考

記事内の記載出典
会合日程・政策金利1.00%日本銀行「金融政策決定会合の運営」
1.25%への引き上げ観測金利スワップ市場の織り込みをもとにした各種報道(2026年8〜9月)
物価の上昇率(+1.8%)総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分」(2026年8月21日公表)/生鮮食品を除く総合、前年同月比
普通預金金利0.4%三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行 各行公表(2026年8月3日適用)
ネット銀行の定期預金金利各行の公表金利(2026年9月時点)。キャンペーン金利を含みます
税引後の利息源泉分離課税20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)をもとに当事務所が試算
変動金利と全期間固定金利の差民間金融機関の変動金利と【フラット35】金利の比較(2026年9月時点)
5年ルール・125%ルール、金利や返済額の見直し時期各金融機関の商品概要説明書。取扱いは金融機関により異なります
予定利率の引き上げ生命保険各社の改定発表(2026年)
1990年代前半の予定利率5%台標準利率制度の導入(1996年4月)以前、保険期間20年超の標準的な予定利率は5.5%程度

※本記事は2026年9月10日時点の公開情報にもとづく一般的な情報提供であり、特定の金融商品を推奨するものではありません。実際の金利や条件は、金融機関・保険会社および契約内容によって異なります。ご自身の判断で最新の情報をご確認ください。

このコラムを書いた人

マネーセミナー講師:大植 裕一

ファイナンシャルプランナー。特定の金融機関に属さない中立な立場で、年間100世帯以上の家計改善をサポート。値上げが続く今、独身・既婚問わず「将来に備える土台作り」の重要性を説く。「難しいお金の話を、誰よりも分かりやすく」がモットーで当事務所のエース。

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日時 10月10日(土) / 10月15日(木)
両日 10:30~11:30
定員 先着5名
受講料 無料
応募締切 各開催日の4日前
対象 ママ(お子様連れ参加OK)
場所 岡山ふれあいセンター 第5研修室(両日とも)
(岡山市中区桑野715-2)
講師 大植 裕一 先生
(家計改善 × 将来設計アドバイザー)
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