コラム

「真面目に働いても…」世界で広がる若者の本音と、これからの日本のカタチ

最近、アメリカの著名な経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』をはじめとする主要メディアの論調を見ていて、非常に気になる潮流があります。それは、世界的な「格差の拡大」と、それに伴う「若者たちの意識の劇的な変化」についてです。

世界的な株高や資産バブルによって、一部の層が莫大な富を手にする一方で、多くの先進国で今、静かな地殻変動が起きています。

■ 先進国の若者が「資本主義」に絶望する理由

いま、アメリカやイギリス、オーストラリアなどの先進国では、30歳以下の若者世代を中心に、医療や教育、住居などの基本的人権を国が手厚く保障する「社会民主主義(北欧型モデル)」的な政策への支持が急速に高まっています。そればかりか、3分の1近くの若者が「共産主義」という言葉にすら共感を示しているという報道もあります。

背景にあるのは、一握りの富裕層に資産が集中する一方で、「どれだけ真面目に働いても家が買えない」「歴史的なインフレと教育・医療費の負担で、スタートラインにすら立てない」という、現行の資本主義システムに対する強烈な行き詰まり感と絶望感です。

かつては一部の過激な思想とされていた主張が、いまや大都市の首長や大統領候補が掲げる「有権者のマジョリティの切実な願い」へと変質し、世界の政治構造を大きく揺るがし始めています。

■ 北欧モデルの本質は「超・ビジネス重視」

彼らが理想とする「北欧型の社会民主主義」とは、決して国が経済をガチガチに統制する暗い社会主義ではありません。スウェーデンやデンマークといった国々は、実は世界トップクラスの自由経済国家であり、イノベーションを推奨する親ビジネスな国です。

日本との決定的な違いは、「高い税金(消費税25%など)を払う代わりに、人生のあらゆるリスク(教育費・医療費・失業時の生活保障)を国が丸抱えしてくれる」という安心感にあります。

失業しても、国費による手厚いリカレント教育(学び直し)で次の成長産業へとスムーズに移れる仕組みがあるため、国民は「将来への不安から過度に貯金する」必要がありません。これが、高い税負担でも国民が納得している理由です。

■ ひるがえって、日本の現状はどうなのか?

現在のところ、日本の若者の間で欧米ほどの過激な政治転換の動きは見られません。これには、日本が誇る「国民皆保険制度」や高い治安の良さが一種のセーフティネットとして機能しており、アメリカほど極端な社会の分断(医療費での破産やスラム化など)に至っていないという背景があります。

しかし、決して他人事ではありません。 日本でも長らく実質賃金が伸び悩み、少子高齢化に伴って現役世代の負担(税金や社会保険料)は増し続けています。これまでは社会の土台を支えていた「中間層」の暮らしが、少しずつ、しかし確実に厳しくなっているのは、諸外国とまったく同じ構造です。

今の日本は、負担だけが欧米並みに重くなりつつあるものの、その原資の多くは高齢化の補填に消えており、子育て世代や現役世代への「未来への投資」としてのリターンを実感しにくいのが現状と言えます。

私たち「日本人としての在り方」と、今できること

このまま「持てる者」と「持たざる者」の格差が広がり続ければ、いずれ日本でも既存の仕組みに対する不満が爆発し、ドラスティックな政治転換や社会の不安定化が起きる可能性は十分にあります。

この時代を生きる私たちに必要なのは、国や仕組みの文句を言うことだけではなく、「自分事として捉え、今できる範囲から足元を固めていくこと」ではないでしょうか。

資本主義の活力を活かして自立して稼ぐ力を養いつつも、地域や家族間で共に支え合う温もりを忘れない。そんなバランスの取れた選択が、これからの日本を生き抜く知恵になります。

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